こうえんの しばふの うえで、ねこが きもちよく ねっころがって いました。
 むこうから、おばあちゃんと おんなのこが、おしゃべりを しながら あるいて きました。
「ねえ、おばあちゃん、なぞなぞ だして!」
 おんなのこが おばあちゃんに せがみます。
「そうだね~、じゃあね~」
 おばあちゃんは ふむふむと うでをくみ、ひとつ、なぞなぞを だしました。

「どんな いろでも ありますよ。
 ぺらっぺらの、まっしかく。
 へんしん させてね、じょうずにね。
 これ なーんだ?」

 おんなのこは、うーんと くびを かしげます。

 そのまま、ふたりは どこかへ いって しまいました。
 そのようすを ねこは、じっと みていました。
「なぞなぞだって。こたえが きになるなぁ」
 ねこは、あれや これやと かんがえながら、ひげを ひっぱって みました。
 みみを つねって みました。
 くるんと、でんぐりがえしを してみました。

 でも、こたえは ひらめきません。
 と、そのときです。
 ネズミが いっぴき、ちょろちょろと きに のぼって いくのが、みえました。
「そこの ネズミ、まてーい!」
 ねこは とっさに、ネズミを おいかけます。

 ネズミが いる きに、だいジャンプで しがみつき、スルスル のぼって、わたわた している ネズミの しっぽを、ギュッと おさえつけました。
「ぎゃ! ねこさん たすけて、たべないで」
 それを きいた ねこは、いいことを おもいつきました。
「じゃあさ、なぞなぞを こたえて くれたら、たすけて あげても、いいよ」
「こたえる。こたえる。こたえるよ」
 ねずみは、ふるえながら、うなずきました。

 ねこは、さっき きいた なぞなぞを いいました。
「どんな いろでも ありますよ。
 ぺらっぺらの、まっしかく。
 へんしん させてね、じょうずにね。
 これ なーんだ?」

 ねずみは、あせを だらだら ながしながら、ゆびを かじりました。
 みみを ひっぱりました。

 そのあと、しっぽを バチンと じめんに たたきつけると、ぱっと めを あけました。
「わかったよ。こたえは、『おりがみ』だ」

「あ! ほんとうだ。おりがみだ……」
 ねこは、うれしくて、ぴょんっと とびはね、そのすきに、ねずみは、おおあわてで にげていきました。

 ところが、ねずみは ぱっと、あしを とめて ふりかえったのです。
「ねこさん、なぞなぞが、すきなの?」
「そうだね、すきだね」
 こたえが わかって、きげんの いいねこは、ちゃんと へんじを してあげました。
 ねずみは ふるえながら、ねこに たずねます。
「じゃあさ、ぼくから、なぞなぞを だして あげるから、もう、ぼくを おそわないって、やくそく、してくれない?」
 ねこは、ふむふむと かんがえました。

『ねずみは ほかにも たくさん いるし、まあ、いいか。
 よし、もういっかい なぞなぞに、ちょうせんだ』
「わかった。じゃあ、なぞなぞ だしてよ」
 ねずみは いいました。
「みず かしら? 
 おちゃ かしら? 
 ジュースを いれても、いいかしら? 
 かばんに いれたり、かたから さげたり。
 これ、なーんだ?」

 いいおえた ねずみは、かぜのような はやさで、いなくなりました。

 ねこは きにせず、なぞなぞを ときます。
「えーと、えーと、なんだろう……」
 あたまを たたいてみました。
 しっぽを かじってみました。
 それっと、さかだちを してみました。

 でも、こたえは ひらめきません。
 と、そのときです。
 ことりが じめんを ついばんでいるのが みえました。
「そこの ことり、まてーい!」
 ねこは とっさに、ことりを おいかけます。

 だいジャンプで、ことりの うえに のしかかり、おっぽを おさえると、こういいました。
「みず かしら? 
 おちゃ かしら? 
 ジュースを いれても、いいかしら? 
 かばんに いれたり、かたから さげたり。
 これ、なーんだ? 
 こたえて くれたら、にがして あげても、いいよ」

 ことりは、めを しろくろさせて、ほっぺを ひっぱりました。
 かたあしを あげてみました。

 そのあと、おでこを じめんに ゴンっと ぶつけると、ぱっと めをあけました。
「わかったよ。こたえは、『すいとう』だ」

「ほんとうだ、すいとうだ……」
 ねこは、うれしくて、ばんざいと とびあがり、そのすきに ことりは、おおあわてで とびたちました。

 ところが、このことりも、また、ねずみと おなじことを いったのです。
「なぞなぞを だして あげるから、もう、わたしを、つかまえないで」
 ねこは、うなずきました。
 こんどこそ、なぞなぞをときたいと おもったのです。
 ことりは、いいました。
「あのこは、すべって、
 あのこは、こいで、
 あのこは、おいかけ、
 あのこは、にげる。
 こどもも、おとなも、だれでも、あそぼ。
 ここ、どーこだ?」

 いいおえた ことりは、ロケットの ようなはやさで、とんでいきました。

 ねこは きにせず、なぞなぞを ときます。
「えーと、えーと、なんだろう……このなぞなぞは、じぶんで こたえを みつけるぞ!」
 ねこは、こうえんの ふんすいの なかに、あたまを つっこんでみました。

 それから、そこらじゅう、めちゃくちゃに はしってみました。

 なんども、なんども、しばふの うえで、でんぐりがえしを してみました。

 それでも、こたえは ひらめきません。
 ねこは、もう、つかれて へとへとに なっていました。
 と、そのときです。
 なにか おおきなものに ぶつかって、うしろに たおれて しまいました。

「おや、ねこくん。ずいぶん おつかれだね。どうしたの?」
 おおきなものと おもったのは、なかよしの いぬでした。おひるねを していたようです。

「やあ、いぬくん。ぼく、なぞなぞを といているんだけど、わからないんだよ」
「そんなに、むずかしいのかい?」
 ねこは、じぶんで ときたいと おもいつつも、つい、なぞなぞを いってしまいました。
「あのこは、すべって、
 あのこは、こいで、
 あのこは、おいかけ、
 あのこは、にげる。
 こどもも、おとなも、だれでも、あそぼ。
 ここ、どーこだ?」

「そんなの かんたんだよ。こたえは、『こうえん』さ」
 ねこが、「まって」と いうよりも はやく、いぬは、こたえを いってしまいました。
 ねこの めから、なみだが ぼたぼたと おちはじめます。

「にゃ、にゃ……にゃわーん! 
 なぞなぞ、ひとつも とけなかったよう~!」
「そうだったんだ。ごめんよ。ねこくん」
 いぬは、もうしわけない きもちで、いっぱいに なりました。でも、いくら あやまっても、ねこは なきやみません。

「だったら、こうしよう。ぼくが なぞなぞを だすから、それを といてみてよ」
 それをきいて、ようやく ねこの なみだは とまりました。
「じゃあ、いうよ。
 へいの うえでも、スタスタ あるく。
 どこでも ゴロゴロ ころがって、
 おっかけっこなら、いぬにも まけない。
 おもしろくて ちょっと なきむしの、
 ぼくの ともだち。このこ、だーれだ?」

 ねこは、さっそく、ときはじめます。
 でも、もう つかれていたので、うごきまわることは しませんでした。
 いぬの よこにすわって、のんびり かんがえます。

 すると、だんだん ねむたく なってきました。
 うとうとと めを つぶったときです。ぱっと、ひらめいたのです。
「わかった。こたえは、『ぼく』だ」
「あたり」
「やったぁ~。いぬくん、ありがとう」
 ねこは、おおきな あくびを すると、そのまま、すやすやと おひるねを はじめました。

   おしまい